この本は新田次郎さんの山岳小説です。
主人公は、竹井岳彦というクライマー。
10代で友人と共に冬の八ヶ岳縦走に挑戦して遭難するのですが、そこで友人を失い、自分も凍傷で両足の甲の三分の一を失ってしまいます。
その後は両足の障害を克服して岩壁登攀に活路を見つけ、最後には冬期マッターホルン北壁を日本人で始めて制覇する偉業を成し遂げるという、不屈の山男の物語です。
と、簡単に言うとそういう話なのですが、それが実在の人物をモチーフにしているというのに驚きました。
主人公はもちろん凄いと思うのですが、私的には 吉田 広 という岳彦のザイル・パートナーに惚れてしまいました。
岳彦は3人のパートナーを山で失います。それ以来、彼とザイルを組んで山に登る者がいなくなってしまうんです。
吉田 広は、そんな岳彦と平然とザイルを組みます。 岳彦の岩壁登攀技術を信頼し、彼の前に立って困難な場所を驚異的な体力で突き進み、根気よく辛抱しながら無言で彼を励まし続けます。
マッターホルン北壁登攀の際に岳彦とザイルを組んだのも、勿論、吉田 広です。
マッターホルンの登攀が成功した要因は、吉田の働きが多くを占めていました。
それなのに、山頂征服を目前にした時、「疲れた。これ以上トップは張れません。竹井さん、どうか先に行ってもらえませんか?」と謙虚にパートナーを先に立てる。
そういう男がいるんですね。素晴らしいと思います。
できれば、自分もそうありたい。でも、我欲にまみれた自分には絶対無理ですけどね(^^;まぁ、あくまでも理想ってことでお許しください(笑)
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